WPW症候群とは

 心臓内の電気の流れは、正常の場合、心房上部にある洞結節から心房へ伝わり、心房興奮を引き起こし、房室結節、ヒス束、心室へ伝わり一回の興奮が終わる。 心房と心室は房室結節以外の場所では絶縁されており心室から心房へ電気の興奮が伝わることはない。しかしながら生まれつき副伝導路と呼ばれる電気の通り道をもう一つ持っていることがある。これをKent束と呼ぶ。その他にMahaim束、James束などがある。 このうちもっとも典型的なのがKent束でこの副伝導路を持っている人の心電図はQRSの直前にデルタ波とよばれる直線状のゆっくりとした立ち上がりが認められる。

delta

 平常は、Kent束をを使って電気が流れていても、正常の房室結節より流れてきた電気の興奮に遮られ頻拍発作を起こすことはない。しかしながら、正常伝導路が通れる状態になっていたとき、あるタイミングでこの伝導路が使われた場合、電気は回旋し頻拍発作を起こすことができるようになる。

re-entry 頻拍発作が起きたといってもすぐに命に危険性が伴うことはないが、頻拍発作によって血圧が下がったり、失神、ふらふらするような状態になる人は要注意である。とくに運転をするような人は他人に被害をもたらす危険性がある以上、下記に記すカテーテルアブレーションにより治療した方がよいと思う。

 治療は、カテーテルアブレーションが第一選択となる。これは電気メスのごく弱いもので原因となる副伝導路に熱を加え電気の通り道を遮断する方法である。具体的には、足の付け根にある太い血管からカテーテルと呼ばれる電極をレントゲンをみながら心臓まであげていき、副伝導路の位置を探した後、カテーテルの先端にある電極から通電して熱を加えるという方法である。 この方法は、数日間の入院を必要とするものの、根治的に治療が可能で、一度成功すれば二度と発作に悩まされることはなくなるという利点がある。現在、この方法での成功率は、各施設によっても異なるが90%以上の成功率を誇る。ちなみに筆者の経験では( 19971999獨協医科大学 )現在のところ100%の成功率である。一般の治療では薬物治療が主ではあるが、薬剤によりこの頻拍発作を完全に抑えることは非常に困難であり、数パーセントではあるがカテーテルアブレーションが不成功に終わったような場合、あるいは身体的障害によりカテーテルアブレーションができない場合に薬物治療が用いられると考えたい。