脳血管疾患の分類と診断基準(文部省脳卒中調査研究班)

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Ⅰ.脳梗塞

  A.脳血栓症

    1.前駆症として脳虚血性発作をくり返し,しばしば発作間における症状の

      回復または改善がみられる。

    2.経過は徐々で個々の脳症状がそれぞれ数分ないし数時間,あるいはそれ

      以上かかって次第に出現し,また階段的に進行する。

    3.意識障害は軽度

    4.髄液は清澄

    5.ときには急速に軽快する

    6.Wallenberg症侯群(塞栓ではまれにしかみられない)

    7.他臓器(とくに動脈および末梢動脈ならびに大動脈におけるアテローム

      硬化症の証明)

    8.通常アテローム硬化症を伴う疾患(高血圧,糖尿病,黄色腫症)が存在

      する

      

  B.脳塞栓症

    1.急激なる発作の出現(数秒あるいは2~3分間)

    2.多くの場合前駆症状は欠如する

    3.意識障害は比較的軽度

    4.髄液は清澄

    5.ときには急速に軽快する

    6.局所神経症状あるいは特定動脈流域の症状

    7.塞栓の原因は通常心疾患に由来する

    8.最近起こったと思われる塞栓の証明

      (i )他臓器(脾,腎,四肢,腸,肺など)

      (ii)他の脳血管領域

Ⅱ.頭蓋内出血

  A.脳出血

    1.血性髄液

    2.高血圧

    3.急激におこる片麻痺,数分ないし数時間後に現れる神経精神症状。

    4.発作は一般的に活動時に始まる

    5.急速におこる昏睡

    6.頭痛(意識を失えばこれを欠く)

    

  B.くも膜下出血

    1.起始ははげしい頭痛

    2.項部硬直,Kernig徴候,Brudzinski徴候

    3.血性髄液

    4.局所神経症状の欠如

    5.意識障害はむしろ一過性

    6.硝子体下(網膜前)出血

    

Ⅲ.脳梗塞を伴わない一過性脳虚血

  A.反復性局所性脳虚血発作(いわゆる脳血管攣縮)

    1.重症な脳血管障害発作の前駆症状の型でくり返しておこるのが普通であ

      る。

    2.発作は局所循環障害による一過性脳虚血が原因とされている。この状態

      がつづいて非可逆性となることも少なくはない。

    3.発作は脳血栓症およびアテローム硬化症と関連があるとされている。

    4.症状としては大きな脳血管(前・中・後大脳動脈,内頚動脈,椎骨動脈)

      流域の神経症状があげられている。なかでも多くみられる症状は,しび

      れ感と不全麻痺である。

    5.症状は一過性であり,24時間以内に消失する。

    

  B.低血圧に伴う一過性脳虚血

    1.低血圧によっておこる発作で脳局所症状を表すものと単に意識喪失をき

      たすものと2種類がある。

    2.低血圧が一次的で血圧が正常に戻った場合は症状は回復する。しかも低

      血圧が反復しないかぎり発作は反復しない。

    3.低血圧の原因として失神,急性失血,心筋梗塞,Adams-Stokes症侯群,

      外傷性および外科的ショック,頚動脈洞反射過敏症,種々の原因による

      いちじるしい体位性低血圧症などがあげられる。

Ⅳ.高血圧性脳症

   急激な血圧上昇ことに最低血圧上昇にさいして一過性の頭痛,悪心,嘔吐,意

  識障害,痙攣,黒内障などの増悪症状をきたす。発作をおこす時期には通常高血

  圧症は悪性の状態になっている。また急性糸球体腎炎のときでは,高血圧が中等

  度でも発作が現れる。その他子癇のさいにも同様の発作が現れる。

  

Ⅴ.原因不明の発作

   臨床的に脳出血,脳血栓症,脳塞栓症などの鑑別が困難なもの。

  

Ⅵ.その他

   Ⅰ~Ⅴに該当しないもの。

  

(付)動脈硬化症

   不定の精神神経症状を有するもので,脳の局所症状を有しない。ただしⅠ~Ⅴ

  に分類した症例は含まない。

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