脳動脈硬化の判定基準(日循協の厚生省研究班による)

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この判定基準は,一般臨床および疫学調査において観案し得る臨床症状,および危

険因子などより,脳動脈ならびに内頚動脈,椎骨動脈の硬化性病変の存在を推定す

るためのものである.

A:確実なもの(ただし,以下の疾患名の明らかなものは,その病名を明記すること

が望ましい)

 A-1:血栓性脳梗塞(cerebral thrombosis)

 A-2:一過性脳虚血発作(transient ischemic attack)

    ただし(明らかに),心臓に起源する脳塞栓,大動脈炎症候群(高安動脈炎)

ならびに線維筋性異形成によるものは除く.

B:比較的確実なもの

 B-1:頭蓋単純X線撮影で,サイフォン部動脈壁の石灰化を確認できるもの

 B-2:頚部単純X線撮影で,頚動脈分岐部の動脈壁の石灰化を確認できるもの

 B-3:造影剤使用によるCTスキャン像に,脳底動脈の管腔の狭小と変形を確認す

るもの

 B-4:頚動脈ならびに椎骨動脈のドプラ・ソナグラムで,動脈硬化性病変(を疑

    わせる所見)を確認されるもの

 B-5:頚部ならびに眼窩部に動脈の狭窄性雑音を聴取し得るもので,大動脈炎症

候群,線維筋性異形成,頚部組織の異常,大動脈などの病変による雑音を否

定し得るもの

C:可能性のあるもの

  C-1,C-2の条件を満たし,C-3の2項目以上の症状を有するもの

 C-1:男40歳以上,女50歳以上

 C-2:眼底所見でKW・群以上,もしくはScheie分類でSH以上の動脈硬化性所見を

有するもの

 C-3:次の諸症状評価には,脳循環障害以外の原因によるものを極力除外するこ



   a)頭痛

   b)めまい,めまい感

   c)記銘力減退

   d)手足のしびれ感と感覚異常

   e)言語障害

   f)筋緊張亢進

   g)歩行障害

D:疫学的に危険因子もしくは促進因子とみなされるもの

 1. 年齢 男40歳以上,女50歳以上

 2. 眼底所見(前記)

 3. 高血圧,糖尿病

 4. 心電図異常(心肥大所見)

 5. リポ蛋白異常

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医学書院刊  今日の診断指針 第3版 より

動脈硬化症

中島 康秀  産業医科大学助教授・第2内科

 

脳動脈硬化の判定基準(文部省研究班による)

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①年齢:40歳以上

②症状:頭痛,めまい,手足のしびれ感,歩行障害,病的反射

③血圧:最大血圧160mmHg以上,または最小血圧90mmHg以上のいずれかをほぼ恒常

性に維持

④眼動脈:KW・度以上のもの

判定

[A]ほとんど確実なもの

  [A-1]①②③の全項目満足するもの

  [A-2]①を満足し,片麻痺(不全麻痺を含む)

      その他,明らかな巣症状を有するもの

     [②③④の有無は問わない]

[B]比較的確実なもの

   ①②に③あるいは④の何れかを満足するもの

[C]可能性のあるもの

   ①②を満足するもの

註)a:上記諸項目が脳動脈硬化に直接関係しない他の器質的疾患(例えば②にお

   ける脳腫瘍,脳塞栓,変性疾患,脊柱の異常,②における急性腎炎)によって

出現していると推定される場合は除外される.

  b:症状の項目では,なるべく多くの徴候が揃うことが望ましいが,一徴候のみ

でもよい.しかし,その徴候は,精神的,肉体的の影響によって動揺性はあ

るが,かなり永続性であり,むしろ進行性である.

  c:[A-1]は所謂,純粋の脳動脈硬化症であり,[A-2]は脳出血または脳軟化

である.

   脳出血は[A-2-BI],脳軟化は[A-2-ErW]と記載することが望ましいが,

   出血か軟化か診断不能の場合は,[A-2]のみの記載でもよい.

  d:上記は脳動脈硬化症の判定基準であり,脳動脈硬化の有無を判定する基準

と同一ではない.例えば,①②を満足する場合,または①④を満足する場合

は脳動脈硬化が存在する可能性は多いが,この判定基準より外れることに

なる.

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