特発性心筋症(臨床病型分類と診断の参考事項)




 特発性心筋症は臨床的には通常次の2型に大別される。特発性心筋症,特に肥大型心筋症ではしばしば家族性発症が認められる。

 

(A)うっ血型(あるいは拡張型)心筋症 congestive (or dilated)cardiomyopathy,CCM or DCM

基本病態:心筋収縮不全

診断の参考事項:

1) 症  状: 呼吸困難・動悸・易疲労性・浮腫・不整脈・胸部圧迫感
2) 胸部X線: 心陰影の拡大
3) 心 電 図: ST-T異常・心室性不整脈・QRS幅の延長・左房負荷・左室側高電位・異常Q波・左軸偏位
4) 聴  診: Ⅲ音・Ⅳ音・非特異性収縮期雑音
5) 心エコ-図及び左室造影: 左室径の拡大と駆出率の低下

 

(B)肥大型心筋症 hypertrophic cardiomyopathy,HCM

基本病態:左室心筋の異常な肥大に伴う左室拡張期コンプライアンスの低下。肥大型心筋症は左室流出路狭窄の有無により,閉鎖性と非閉鎖性に分けられることがある

診断の参考事項:

1) 症  状: 動悸・呼吸困難・胸部圧迫感・胸痛・易疲労性
2) 心 電 図: ST-T変化・左室側高電位・異常Q波・QRS幅の延長
3) 聴  診: Ⅳ音・非特異性収縮期雑音
4) 心エコ-図: 心室中隔の肥厚,拡張期の心室中隔厚/左室後壁厚≧1.3
5) 心筋生検: 奇妙な形(bizarrely-shaped)の肥大心筋細胞,心筋細胞の錯綜配列(disarray)(但し本症に特異的とは限らない)

 

閉塞性肥大型心筋症:hypertrophic obstructive cardiomyopathy,HOCM

閉塞性肥大型心筋症では,上記のほかに次の事項が参考となる

a) 症  状: めまいないし失神
b) 聴  診: Ⅱ音の奇異性分裂,昇圧剤やβ受容体遮断薬で減弱し,降圧剤やβ受容体刺激薬で増強する収縮中期雑音
c) 心エコ-図: 僧帽弁エコーの収縮期異常膨隆(systolic hump またはSAM)
d) 心臓カテーテル: 左室流出路,流出路間における収縮期圧較差(20mmHg以上)の存在



「厚生省特定疾患調査研究班昭和54年度報告書」から

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