糖尿病の原因と治療

 糖尿病とは膵臓からのインスリンというホルモンの分泌が低下しているために,血液中の糖(血糖と言う)が高くなり,さまざまな症状をおこす疾患です。糖尿病は2つの違ったタイプがあります。ひとつは,やせた若い人に発症することが多いインスリン依存型糖尿病。もうひとつは非インスリン依存型糖尿病で,これは40歳以降の多く発症するもので,遺伝や肥満に関係し,私達が普段多く目にする糖尿病です。
 症状は無症状の場合がほとんどですが,高血糖の場合だるい,のどがかわく,頻尿,多尿になるなどの症状が多くみられます。非常に高い血糖値の状態には昏睡(糖尿病性昏睡)に陥る場合があります。定期的に医師の診察を受け,適切な検査治療を受けていれば,昏睡といった状態にはなりにくいのですが,糖尿病があるのにも関わらず,放置しておくと昏睡状態となることもあるのでとにかく,定期的に診察を受けるということが,もっとも重要なことといえます。
 診断は血液検査や糖負荷試験で行います。糖負荷試験は糖水を飲んで糖を負荷してその前後,特に2時間後の血糖値によって,正常か糖尿病か,あるいはその中間の境界型かを決定する検査で簡単に行え確実に診断することができる検査として広く行われています。
 治療は,食事療法と運動療法がまず基本です。その人の身長体重仕事などによって予測される運動量の3つより,理想的な摂取カロリーが医師によって示されますのでそのカロリー内でバランスよく毎日食事することが必要です。また,運動については激しい運動をする必要はなく,1日少なくとも6000歩以上の歩行を行うなど,毎日持続的に体を動かすことが大切とされています。食事,運動療法によっても,血糖が高い場合には血糖降下剤や,インスリン注射などの薬物療法が行われます。
 糖尿病は自覚症状に乏しい病気ですが,適切な治療が行われず,高血糖の状態で,何年も放置しますと体内の細い血管が中心に,障害を受けてきますので,それによって,合併症が起こってきます。糖尿病それ自体よりも厄介なのは,この合併症であり,この合併症をおこさないために,糖尿病の治療を行うといっても過言ではありません。
 合併症は細い血管が集まっている臓器である眼,腎臓,神経から起ってくることが多く,糖尿病の3大合併症と呼ばれています。それぞれ悪化しますと糖尿病性網膜症,これは失明,糖尿病性腎症これは透析療法,糖尿病性神経症,これは足が壊死に陥り,切断という恐ろしい状態になることもあります。実際にこれらの合併症を有している患者さんの多くは「ここまでひどくなる」といった病識を与えられていず,自覚症状がないために放置し,気付いた時には手後れという場合が圧倒的に多く,糖尿病と診断された時点での医師による正しい説明と患者さんの理解は不可欠です。
 糖尿病は,検査を行い,常に食事,運動,薬物療法などにより血糖値を正常域に保っておきさえすれば,これらの合併症への進展とは一生無縁でいられる「自分でコントロールできる病気」であり,放っておけば,突然すでに手遅れの状態となる「恐い病気」でもありますので,患者さんや家族の方の正しい理解が最も必要な病気の一つであるといえます。
 また,血糖が低すぎる「低血糖」も速やかな処置が必要な,危険な状態ですので,糖尿病の患者さんは低血糖症状を来した場合にの正しい対応(すぐに糖を補給すること)を知り,そのような症状をおこした場合には,医師と相談の上治療を継続することが必要です。糖尿病は高血圧とともに動脈硬化の大きな原因の一つですので,脳卒中,虚血性心疾患の予防という意味でも,血糖を正常に保つことは大切であるといえます。

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