筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断・治療の手引き(昭和63年,厚生省)

Ⅰ 一般に20歳以上で発症するが40歳以後に多い。

Ⅱ 発病は緩徐,経過は進行性(病変が限局性で,経過が非進行性のものは除外する)

Ⅲ 主な症状は以下の如くである。

  (1) 球症状:舌の線維束性攣縮,萎縮および麻痺,構語障害,嚥下障害。

  (2) 上位ニューロン徴候(錐体路徴候):深部反射亢進(下顎反射を含む),病的反射

   の出現

  (3) 下位ニューロン徴候(前角徴候):線維束性攣縮,筋の萎縮と筋力低下。

Ⅳ 病型と経過には以下のものがある。

  a) 上位の小手筋の萎縮(初期には,しばしば一側性)に始まり,次第に上位・下位

   ニューロン障害の症状が全身に及ぶ形が多い。

  b) 球症状が初発し,次いで上肢,下肢に上位・下位ニューロン障害の徴候が現れ

   る。

  C) 下肢の遠位側の筋力低下,筋萎縮に始まり,上位・下位ニューロン障害の症状

   が上行する場合がある。

  d) 時には片麻痺型を示したり,痙性対麻痺の形で症状が現れることがある。

  e) 上記のⅢの(1),(2),(3)の症状のみに終始する場合があるが,それぞれ,

   進行性球麻痺,原発性側索硬化症,脊髄性進行性筋萎縮症と呼ばれることがある。

Ⅴ 遺伝性を示す症例がある。

Ⅵ 本症は原則として他覚的知覚障害,眼球運動障害,膀胱直腸障害,小脳徴候,錐体

 外路徴候,痴呆を欠く。

  以下の疾患を鑑別する必要がある。

  頚椎症,頚椎後縦靱帯骨化症,広汎性脊椎管狭窄症,遺伝性脊髄性筋萎縮症(球脊

  髄性筋萎縮症,Kugelberg-Welander病など),痙性脊髄麻痺(家族性痙性対麻痺),

  HAM,脊髄小脳変性症,神経性進行性筋萎縮症(Charcot-Marie-Tooth病),多発性神

  経炎(motor dominant),多発性筋炎,進行性筋ジストロフィー症,脳幹および脊髄

  の腫瘍,偽性球麻痺。

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