AIDS診断基準(厚生省)

Ⅰ HIVの抗体検査が陽性の場合

   酵素抗体法(ELISA)またはゼラチン粒子凝集法(PA)といった HIV の抗体スクリー

  ニング検査法の結果が陽性で,かつ蛍光抗体法(IFA)または Vestern Blot 法とい

  った確認検査法の結果も陽性であった場合であって,次の特徴的症状(Indicator 

  Diseases)の1つ以上が明らかに認められるときは AIDS と診断する。

   なお,生後 15 か月未満の児については,児の HIV の抗体確認検査が陽性で,

  母親が HIV に感染している場合で,かつ児がリンパ球数の減少,ヘルパーT細胞

  の減少,ヘルパーT細胞/サプレッサーT細胞(CD4/CD8)比の減少といった免疫学

  的検査所見のいずれかを有する場合に,AIDS と診断する。

  [特徴的症状]

    1 カンジダ症(食道,気管,気管支,または肺)

    2 クリプトコッカス症(肺以外)

    3 クリプトスポリジウム症(1か月以上続く下痢を伴ったもの)

    4 サイトメガロウイルス感染症(生後1か月以上で,肝,膵,リンパ節以外)

    5 単純ヘルペスウイルス感染症(1か月以上継続する粘膜,皮膚の潰瘍を呈す

     るもの,または生後1か月以後で気管支炎,肺炎,食道炎を併発するもの)

    6 カポジ肉腫(年齢を問わず)

    7 原発性脳リンパ腫(年齢を問わず)

    8 リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成:LIP/PIE complex(13歳未満)

    9 非定型抗酸菌症(結核以外で,肺,皮膚,頚部もしくは肺門リンパ節以外

     の部位,またはこれらに加えて全身に播種したもの)

    10 ニューモシスチス・カリニ肺炎

    11 進行性多発性白質脳症

    12 トキソプラズマ脳症(生後1か月以後)

    13 化膿性細菌感染症(13 歳未満で,ヘモフィルス,連鎖球菌等による敗血症,

     肺炎,髄膜炎,骨関節炎または中耳炎もしくは皮膚粘膜以外の部位や深在臓

     器の腫瘍が2年以内に2つ以上,多発あるいは繰り返して起こったもの)

    14 コクシディォイド真菌症(肺,頚部もしくは肺門リンパ節以外に,またはそ

     れらの部位に加えて全身に播種したもの)

    15 HIV 脳症(HIV 痴呆,AIDS 痴呆または HIV 亜急性脳炎)

    16 ヒストプラズマ症(肺,頚部もしくは肺門リンパ節以外に,またはそれらの

     部位に加えて全身に播種したもの)

    17 イソポリア症(1か月以上続く下痢)

    18 非ホジキンリンパ腫(B細胞もしくは免疫学的に未分類で組織学的に切れこ

     みのない小リンパ球性リンパ腫または免疫芽細胞性肉腫)

    19 結核(肺以外に1か所以上播種したもの)

    20 サルモネラ菌血症(再発を繰り返すもので,チフス菌によるものを除く)

    21 HIV 消耗性症侯群(全身衰弱またはスリム病)

       ※ これらの疾患のうち,1~12 は,従来から AIDS と診断されていた

       特徴的症状である。

         ただし,カポジ肉腫と原発性脳リンパ腫は 60 歳未満を AIDS とし

        ていたが年齢は問わないこと,非定型抗酸菌症もトリ型またはカンサ

        ス型としていたがこれらに限定されないこととした。

      ※※ これらの疾患の診断については付記(略)を参照のこと。

Ⅱ HIVの抗体検査が陰性の場合

   HIV の抗体スクリーニング検査法(酵素誘導法,ゼラチン粒子凝集法)の結果が陰

  性である場合,通常,サーベイランスでは AIDS とは診断されない。しかし,次の

  ような場合は例外である。

   明らかに他の免疫不全を起こす疾患に罹患しておらず,かつ

  (1) ニューモシスチス・カリニ肺炎が確定診断できる場合

  (2) またはⅠの 1~12 に挙げた疾患が明らかに診断され,かつヘルパーT細胞/イ

    ンデューサーT細胞が400/mm3 以下に減少している場合

Ⅲ HIVの抗体検査を行っても判定ができない場合

   酵素抗体法やゼラチン粒子凝集法といった HIV の抗体スクリーニング検査法の

  結果が反復陽性であっても,蛍光抗体法や Vestern Blot 法といった確認検査法で,

  陰性または判定不能の場合は,明らかに免疫不全を起こす他の原因(例えば発症前

  3か月以内の副腎皮質ステロイドの大量または長期の投与,低ガンマグロブリン血

  症,発症前3か月以内に診断された免疫不全を伴う悪性疾患など)が認められず,

  かつⅠの 1~12 に挙げてある特徴的症状が明らかに診断できれば AIDS と診断す

  る。

   また,母親が周産期に HIV に感染している生後 15 か月未満の児は,HIV の抗

  体確認検査が陽性であっても,それだけでは HIV 感染の有無は判定できないが,

  児が明らかに他の原因による免疫不全の症状がない場合は,Ⅰの 1~12 に挙げて

  ある特徴的症状がはっきり診断できれば AIDS の診断を行う。

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